【設立コラム】個人事業、会社、LLP、企業組合、NPO法人の違い
個人事業、会社、LLP、企業組合、NPO法人の違いについて、簡単にまとめました。
●個人事業
【開業資金】制限なし。小資金でも可能。
【設立手続】特に必要ない。
【資金調達】出資は不可。融資は日本政策金融公庫など公的金融機関からも可能。
【責任範囲】無制限に追求される。
【会計処理】青色申告の場合でも簡易帳簿を選ぶことができ、比較的簡単。
【 税 金 】事業所得に対して所得税が課税され、地方税・事業税もかかる。
●会社
【開業資金】会社法の施行により、最低資本金制限撤廃。小資金でも可能。
【設立手続】やや煩雑。
【資金調達】出資、融資などの方法で調達が可能。
【責任範囲】株式会社や合同会社は出資範囲内の責任。
ただし、借り入れやリースなどは代表者が個人保証するのが通例で、
実質的には無制限に追求されることが多い。
合資会社の代表者(無限責任者)は、もともと無制限に追求される。
【会計処理】複式簿記による記載が必要で複雑。
【 税 金 】すべての益金に対して法人税がかかる。また、地方税・事業税もかかる。
●LLP
【開業資金】最低資本金制限なし。小資金でも可能。
【設立手続】会社や企業組合などに比べると簡易。
【資金調達】個人、法人を問わず組合員(出資者)になれるため調達しやすい。
LLP名義で融資を受けることも可能。
【責任範囲】株式会社や合同会社と同様、出資範囲内の責任。
【会計処理】複式簿記による記載が必要で複雑。
【 税 金 】LLP自体には課税されず、出資者が利益分配を受けた時のみ、
その分配に対して課税される「構成員課税」が適用される。
●企業組合
【開業資金】最低資本金(出資金)制限なし。小資金でも可能。
【設立手続】煩雑。また、設立には許可が必要なため、事業計画や内容、経営基盤などに関して
行政庁(主に都道府県知事)のチェックを受ける。
【資金調達】出資、融資などの方法での調達が可能。
03年からは法人も組合員になれるようになったため、出資者の範囲も広がった。
【責任範囲】株式会社や合同会社と同様、出資範囲内の責任。
【会計処理】複式簿記による記載が必要で複雑。
【 税 金 】会社同様の税率で法人税や地方税が課せられるが、登録免許税や印紙税の一部に
非課税が認められる。
●NPO法人
【開業資金】資金不要。小資金でも可能。
【設立手続】煩雑。所轄庁の認証が必要で、2ヶ月の縦覧期間なども含むため、申請から設立まで4ヶ月程度かかる。
【資金調達】会費収入、補助金・助成金、寄付など多彩な方法での調達が可能。
もちろん事業収入も見込める。また、一部の自治体では融資制度もある。
【責任範囲】出資概念がないので社員(構成員)の責任規定は特にない。
ただし、融資などを受けた場合は、代表者や理事が個人保証するケースが多い。
【会計処理】複式簿記を用いず単式簿記でも可。
【 税 金 】事業所得(特定の収入)に対しては会社と同率の法人税がかかる。
以上、どのような形で設立するかは、目的や運営スタイルだけでなく、それぞれの違いをわかった上で
判断することも必要です。