【設立コラム】企業組合、NPO法人の税金面での違い
企業組合、NPO法人の税金面での違いについて、簡単にまとめました。
≪企業組合≫
【所得金額の計算方法】
会社と同様の方式で計算される。
【交際費】
会社と同様の条件で損金算入することができる。
【給与】
会社と同様の条件で損金算入することができる。
役員賞与が一定の場合を除き、全額損金に算入できないのも会社と同じ。
【住民税】
会社と同様の税率が法人税額に対して適用される。
【事業税】
会社と同様の段階税率が適用される。
≪NPO法人≫
【所得金額の計算方法】
特定の収入を益金の額とし、これから損金の額を控除して計算される。
【交際費】
資本金がないので、NPO法人税務独特の計算式により法人規模を求め、その結果により
全額損金にならない、あるいは一定額を損金算入できる、などが決まる。
【給与】
役員に対する報酬・退職金は不当に高額でない限り、損金算入はできる。
ただし、報酬を受け取ることができる役員は、役員総数の3分の1以下に限られる。
もっとも役員が職員を兼務している場合は、職員としての立場で給与を受けることができる。
【住民税】
法人税額に対して5.0%~の都道府県民税と、12.3%~の市町村民税が課税される法人税割と、
7万円~の均等割とがある。
ただし、条例によって均等割を課税しない自治体もある。
【事業税】
会社と同様の段階税率が適用される。
次回は、会社の種類について説明していきます。
【設立コラム】個人事業、会社、LLP(有限責任事業組合)の税金面での違い
個人事業、会社、LLP(有限責任事業組合)の税金面での違いについて、簡単にまとめました。
≪個人事業≫
【所得金額の計算方法】
所得を10種類に分類し、それぞれ所得計算を行う。
一部は分離課税方式。
原則として、所得控除(配偶者控除など)を行い、総合課税される。
【交際費】
特に限度枠はなし。
ただし、事業に関連しない交際費は必要経費にならず、家事費になる。
【給与】
白色申告の場合は専従者1人につき50万円(配偶者は86万円)、青色申告の場合は
専従者の給与全額(不当に高額でない場合)を必要経費に算入できる。
【住民税】
都道府県税や市町村民税は、自治体ごとに額が決められる所得割と均等割とがある。
【事業税】
290万円の事業主控除後の事業所得金額に対して、原則5.0%の比例税率により課税される。
≪会社≫
【所得金額の計算方法】
会社のすべての収入を益金の額とし、これからの損金の額を控除して計算される。
【交際費】
資本金1億円未満の会社であれば、一定額を損金算入できる。
なお、1人あたり5,000円以下の取引先との飲食費は全額損金算入できる。
【給与】
役員に対する報酬・退職金は、不当に高額でない限り、損金に算入できる。
【住民税】
都道府県税や市町村民税は、自治体ごとに額が決められる所得割と均等割とがある。
【事業税】
法人税の課税所得に対して、原則、年400万円以下は5.0%、400万円超800万円以下は7.3%、
800万円超は9.6%の段階税率が適用される。
≪LLP≫
【所得金額の計算方法】
LLP自体には課税されない。
出資者が利益分配を受けた時のみ、その額を出資者の所得に加算し、個々の出資者ごとに課税が行われる。
【交際費】
会社と同様の条件で損金算入することができる。
【給与】
そもそも組合員(出資者)は報酬(給与)を受け取ることができない。
雇用した従業員への給与支払は問題なし。
【住民税】
LLP自体には課税されない。
【事業税】
LLP自体には課税されない。
【設立コラム】LLP=個人でも法人でもない事業体
LLP(=Limited Liability Partnership)とは、有限責任事業組合のことを指します。
2005年8月に施行された「有限責任事業組合契約に関する法律」にもとづいた、新しい事業体です。
法人ではないものの、様々な法的権利を有する組織となります。
LLPの最大の特徴は、「構成員課税」と呼ばれる課税方式にあります。
出資者にとって有利な制度なので、個人同士、法人同士、または個人と法人など、
複数の出資者が共同事業を起こす際の受け皿になると期待されています。
≪LLPの3大特徴≫
1.有限責任
出資者は出資額の範囲内での責任しか負わない。
2.内部自治原則
出資者自身が経営を行い、利益や損失の分配方法も出資者が自由に決められる。
3.構成員課税
出資者に直接課税されるので、法人課税と配当課税の二重課税を回避できる。
今回はLLPの概要についてお話しました。
LLPの設立方法については、また次回ご紹介いたします。